1.食品の選び方 1)糖質を中心にする食品について 同量の糖質でも、吸収の早い糖質と遅い糖質があります。菓子類や嗜好飲料に入る砂糖や果物の糖は、血糖植が早くに上昇しますので量や時間に注意しましょう。 又、糖質は体の中で工ネルギーとなる働きがあります。毎日必す食べる事を忘れないようにしましょう。 2)蛋白質を中心とする食品について 同じ表3の仲間でも脂肪の多い食品は、1単位の量は少なく脂肪の少ない食品は量が多くなります。体のパランスのためには、どちらかに偏らずに脂肪の多い物、少ない物をとりまぜて食べましょう。 又、蛋白質は体を作る働きがありますが、取り過ぎは腎臓等に負担をかけてしまいます。1日の単位の中で量に気をつけて大豆製品を中心にとるように心がけましよう。 3)脂肪を中心とする食品について 油脂類は、蛋白質や糖質の約2倍の工ネルギーを持っています。揚げ油の取り過ぎや脂肪の多い食品に注意して、1日単位の中で食べましょう。 又、エネルギーが高いからといって脂肪をひかえ過ぎると、ビタミン類が吸収されない等の状態が出てきます。適量を守って毎日とるようにしましょう。 4)ピタミン、ミネラルを中心とする食品について 野菜や海藻は、ビタミン、ミネラルの大切な供給源です。野菜は1日300g、海藻、きのこ、コンニャクも毎日食べるように心がけましょう。又、1日に野菜の量のうち1/3量は色の濃い野菜(にんじん、ほうれん草)として、油を使って食べるようにして下さい。甘味の多い野菜(玉ねぎ、力リフラワー)のとり過ぎに注意しましょう。 5)その他 調味料や嗜好品は、気をつけてとったほうがよいでしょう。 みそ汁は1日1杯、調理には砂糖を使わないようにしましょう。 2.食品交換表について 1)食品交換表 1日に必要なエネルギー(力ロリー)を蛋白質や脂肪、糖質のバランスをとりながら食べるための辞典です。 1単位のグラム数や目安を覚えて、パランス良く食べて下さい。 |
群 | 表 | 食 品 | 1単位80カロリー当たりの 各栄養素含量の平均値 | ||
蛋白質 (グラム) | 脂質 (グラム) | 糖質 (グラム) | |||
糖質を主と して供給す る食品 | 表1 | こく類、いも類、豆類(大豆及びそ の製品を除く)糖質の多い野菜及び種実類 | 2 | ― | 18 |
表2 | 果実類 | ― | ― | 20 | |
蛋白質を主 として供給 する食品 | 表3 |
魚介類、鳥獣鯨肉類及びその加工品、卵、 チーズ、大豆及びその製品 | 9 | 5 | ― |
表4 | 牛乳及び乳製品(チーズを除く) | 4 | 5 | 6 | |
脂質を主と して供給す る食品 | 表5 | 油脂類及び多脂性食品 | ― | 9 | ― |
ビタミンお よびミネラ ルを主とし て供給する 食品 | 表6 | 野菜類(糖質の多い一部の野菜を除く) 藻(海草)類、きのこ類、こんにゃく | 5 | 1 | 13 |
大切なエネルギー源です。 |
表 | 食品 | 単位 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
1 | 穀類・芋 糖質の多い野菜 豆・大豆は除く | 4.5 | 4.5 | 5 | 5 | 6 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 11 | 12 | 13 | 13 | 14 | 14 | 14 | 14 | 14 | 14 | |
2 | 果実 | ― | ― | ― | 0.5 | 0.5 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
3 | 魚介類 | 3 | 3 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 | 6 | 6 | 6 | 6 | |
肉類 | |||||||||||||||||||||||
卵 | |||||||||||||||||||||||
大豆製品 | |||||||||||||||||||||||
4 | 牛乳・乳製品 | 1 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | |
5 | 油脂類 | ― | 0.5 | 0.5 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
6 | 野菜類 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
調味料 | 砂糖、味噌 みりんなど | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
2)間違えやすい食品 |
表1 | 主食の仲間 | カボチャ、芋、とうもろこし、栗、はるさめ、ビーフン、くずきり くわい、ゆり根、ぎんなん、グリンピース、豆類、レンコン | |||||||||||||||||||||||||
表2 | 果物の仲間 | すいか、レモン、まくわうり | |||||||||||||||||||||||||
表3 | 肉・魚の仲間 | たらこ、数の子、いくら、くらげ、かまぼこ、油あげ、チーズ ショルダーベーコン、豆乳、きなこ、枝豆 | |||||||||||||||||||||||||
表4 | 牛乳の仲間 | ヨーグルト、エバミルク、スキムミルク | |||||||||||||||||||||||||
表5 | 油の仲間 | クリームチーズ、バラ肉、サラミ、生クリーム、ピーナッツ ドレッシング、ピーナッツバター、アボガド | |||||||||||||||||||||||||
表6 | 野菜の仲間 | トマト、オクラ、さやいんげん、カリフラワー、竹の子、わらび アスパラ缶 |
3.家庭での注意点 外食、インスタント食品、お弁当のとり方について 1)計って食べる習慣をつけましょう。 表1から表6までを、パランス良く、1回の量を計って食べる書慣をつけましょう。 2)色々な食品をとり混ぜて食べましょう。 1日に30種類の食品を食べる事が、体にとっても大切です。外食の時も、単品料理よリ、定食や幕の内弁当にして、野菜を中心にしたパランスの良い食事を心がけましょう。 3)和食を中心とした食生活が望ましいです。 洋食や中華料理は、隠れた油が多く、和食は素材を生かす調理法が多いので、単位のが計算しやすく覚えやすい料理です。量を覚えるまで、和食を中心とし、砂糖のとり過ぎに注意してとってみましょう。 4)ゆっくりと食べて、満足感を味わいましょう。 量的には少なくても、ゆっくリと噛んで食べることは、満足感が出て胃にも体にも良いといえます。 5)インスタント食品のとり過ぎに注意しましょう。 インスタント食品は、糖質と塩分が多く、蛋白質と野菜が少ない傾向にあります。蛋白質と野菜を必ず補って下さい。 4.食事の内容について 調理の工夫をすることで食生活を楽しみましょう。 1)薄味に憤れましょう。 副食の味付けを濃くすると、主食を多くとる原因になります。副食の味付けをする場合は、みりんや砂糖で煮物を作るより、お酒でうま味をひき出して、醤油で味をひきしめる調理方法や、生姜や栢橘類を上手に使った、薄味になれましょう。 2)油を上手に使いましょう。 同じように調理しても、油の量が食品によって違います。揚げ物は油が多くなります。野菜は下ゆでしてから揚げたり、衣を少なめにしたり、包み揚げにして、油の量を少なくしましょう。又、揚げ物は中身より衣に多く油が含まれています。衣をはずして食べるようにしましょう。 3)満足感を味わう工夫をしましょう。 カロリーの無い食品や、低カロリーの食品を使ってボリューム感を出してみましょう。海藻やきのこ、コンニャクは、カロリーが無く沢山食べたほうが良い食品です。調味料には気をつけましょう。又、大皿に盛リ付けるよりも、小皿に盛り付けたほうが、量的にも多く見えて満足感を味わうことができるでしょう。また、水分も上手に利用しましょう。 5.自己管理の仕方について はかリ、計量スプーン、計量力ップを用意しましょう。 1)自分の1日の単位と1食の単位を覚えましょう バランスを考えて一定の単位を決め、食生活を始めます。まずは、自分の1日の単位を覚えましょう。 2)表1〜表6の仲間を覚えましょう 表1〜表6のそれぞれの仲間を、計りながら覚えていきましょう。よく使う食品をメモして持って歩いたり、貼り出しておくのも良いでしょう。 3)表1と表3は特に大切です 表1の主食の量と表3の主菜は、とり過ぎてしまいやすく、常に意識して食べる心がけが大切です。 4)自分用のノートを作りましょう いつまでも“だいたい”というのは、よくありません。最低1ヶ月は、ノートをつけて1日の反省を夕食前に行う習慣をつけましょう。 5)献立を立てる時は、次のことに注意しましょう 表3の主菜になる仲間を知り、量を計っておかずにしましょう。 表1、表5、表6は1/3単位ずつ使いましょう。 表2と表4は、なるベく間食としてとるようにしましょう。 6.糖尿病性腎症の食事について 糖尿病の合併症の一つに糖尿病性腎症がありますが、他の合併症と違い、腎臓病の場合は食事がかなり変化します。ここでは、その違いについてお話しします。 1)蛋白質(表3、表4)の制限 蛋白質には糖質、脂質と違い、老廃物の元となるものが含まれます。 腎臓では血中の老廃物を濾過して体の外に捨てていますから、蛋白質を取り過ぎると老廃物も増え、腎臓に負担がかかってしまいますので制限が必要になります。 2)カロリーの補充 体が必要とするカロリーは変わりませんので、蛋白質を制限する分、糖質と脂質で補充しなければなりません。 カロリーが不足すると、筋肉などに含まれる蛋白質を壊すことで生まれるカロリーで補充しようとしますから、せっかく食事で蛋白質を制限して老廃物を減らしても、蛋白質が壊れることで老廃物は増えてしまいます。 糖尿病食のなかでは糖質と脂質は取り過ぎに注意しなければなりませんでしたが、ここでは逆に積極的に取らねばならなくなります。 3)塩分の制限 塩分は水と一緒に吸収されますが腎臓の働きが弱ってくるとむくみの原因になります。 また、塩分をとりすぎると血圧が上昇し腎機能をさらに悪くします。血圧の管理という面でも塩分制限は大事です。 味付けは薄味にしましょう。 |