糖尿病は現在のところ、治ることはありませんが、適切な診断、治療によって、改善、悪化の予防、合併症の発症、進展の予防はできます。ただ、それには、現在の糖尿病を抱えた患者様の状態の把握が肝心です。当院には常に糖尿病専門医、研修指導医をはじめとして糖尿病に造詣の深い医師がおります。様々な方法を用いて、神経障害、網膜症、腎症等の3大合併症の他、心臓や脳等における血管の合併症の発見、そして、様々な血液検査、画像検査等を用いて糖尿病の背景にある病気の発見につとめております。
また、糖尿病を治療できる薬の種類は年々増えておりますが、使う薬はそれぞれの患者様に合わせていかなければなりません。それぞれに合わせた治療、機会と必要性があれば治験薬を用いた治療を行います。
腎臓内科では腎臓病全般の治療、及び腎不全に対する透析(血液浄化)治療を行っています。糖尿病専門病院である当院では糖尿病性腎症の治療が最も重要なテーマですが、糖尿病性腎症全体への取り組みとして最も大切なことはこれを発症させないこと、進行させないことにあります。この糖尿病性腎症の発症予防、進行予防には糖尿病自体のコントロールと血圧のコントロールが重要であり、腎症の未発症段階、早期段階においては当院に在籍する7名の糖尿病専門医がその発症、進展防止に全力で取り組んでいます。
そこで、腎臓内科では進行してしまった糖尿病性腎症に対する腎不全進行抑止、合併する貧血などの治療などを主体に糖尿病専門医と連携して治療にあたっております。
腎臓内科では糖尿病以外の腎臓病全般、腎臓病を疑われた場合の二次検診からその後の治療、経過観察なども行っており、腎不全に対しては保存的治療(血圧やむくみの治療、進行を抑える治療)を行うとともに、必要時には内シャント設置、透析導入まで包括的に診療を行っております。
当院の透析室には42台の透析装置があり、多くの患者様の外来透析を実施、合併症の際には入院治療も行っております。外科疾患など当院で対応できない合併症に関しては札幌市内の複数の基幹病院と連携して対処しております。
透析患者様には心血管系の合併症が多いですが、当院は北海道循環器病院と提携し循環器外来を開設しており、随時循環器専門医の診療を受けることができる体制になっております。
糖尿病は血管が硬くなりやすい病気です。その結果、狭心症や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こしやすくなっています。又、糖尿病自体が心臓の機能を低下させて心不全を引き起こす危険因子です。従って、異常が明らかになる前に定期的に心臓を調べることはとても大事なことです。
また糖尿病の治療薬の中には心臓の予防効果があると言われているものが有り、その観察も必要です。現在週2回、循環器専門病院より専門の医師が出張し、当院で心臓の病気の危険性が高い方の診療を行います。
糖尿病の方では消化器にも色々な病気を伴いやすく、内視鏡の検査が欠かせません。 当院では現在上部消化管内視鏡(胃カメラ、経口、週1回)、下部消化管内視鏡(大腸カメラ、前日からの入院、週1回)を行っております。(注1,2)検査は消化器専門医が出張にて行います。
当院眼科の特徴は、糖尿病専門病院併設の眼科なので、内科と密に連携をとり、内科状況を把握し糖尿病にかかわる眼の病気の治療を専門的に安全に行えること、職員が日常診療はもとより学会、講演会、勉強会に積極的に参加、発表し、常に学び続けて眼科や糖尿病医療の最新の知識や技術を取り入れ、質の高い医療を提供できるように日々努力をしていることです。
日本眼科学会の研修施設としても認定されており、日本眼科学会専門医が常勤医として2名、視能訓練士3名(うち、全国でも数少ない認定視能訓練士1名、札幌糖尿病療養指導士2名)、看護師5名(うち、糖尿病療養指導士4名)検査助手2名、医療秘書1名が協力しながら業務にあたっております。眼科医療機器も大学病院レベルの最新の機械を取り入れており、糖尿病網膜症はもとより、糖尿病以外の方の 白内障、緑内障、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症などの診療、治療も積極的に行っております。
"足は第二の心臓"と言われる位、体の中では大事な部分ですが、自分の目から遠い為、目が行き届きにくいところでもあります。結果、皮膚の汚れや、色などの見た目の変化に気づきにくい上、感じ方の変化にも気づきにくいのです。とりわけ糖尿病の方では神経や血管の病気になりやすい為、気づいたときには足が壊疽になっている、等の状況になります。当院では週1回皮膚科の専門の医師が出張して、こうした足をはじめとして、皮膚の様々な変化について診療をおこなっています。